羽前 鶴ヶ岡城

お城のデータ
所在地： 山形県鶴岡市馬場町
遺　構： 曲輪、土塁、石垣、堀
形　式： 平城 築城者： 武藤長盛 築城年代： 不明


見　ど　こ　ろ
（ 本丸二層隅櫓跡 ）
（ 本丸北側の土塁と内堀 ）
（ 本丸中門跡の大寶館 ）
　鶴ヶ岡城は、庄内平野の南辺に位置する鶴岡市街地の中心部に築かれている。現在も東に赤川と支流の内川・新内川が北流し、西側には青竜寺川が流れに挟まれた地形となっているが、往時は赤川が乱流して深田が周囲を取り巻く要害となっていたようだ。ただ、この地形は要害でもあり鶴ヶ岡城の弱点でもあったとは皮肉なものだ。

　鶴ヶ岡城の縄張りは、方形をした本丸を二の丸が取り囲み、更にその外側を三の丸が囲繞する輪郭式の平城で、三重の堀に囲まれていた。本丸・二の丸は、現在鶴岡公園として整備されていて、本丸・二の丸それぞれを囲繞していた堀も良く残されている。また、公園の随所にかつては曲輪を囲繞していた土塁が残っていて、特に外北門の両側に残る土塁は見応えがある。

　かつては、本丸には北西隅に二層の隅櫓、西南隅には多聞櫓が建ち、南東部に突き出して中門の枡形と櫓門が建っていた。二の丸にも南東隅に二層の隅櫓があり、致道館正門側の北側に櫓台の遺構が残っている。城の建物の遺構は残っていないが、藩校致道館には建物の遺構が残っていた。

【致道館】
　庄内藩主9代酒井忠徳が、文化2年に退廃した士風の刷新による藩政新興を図るために設立した藩校。文化13年に10代忠器により三の丸内の現在の場所に移された。校内には孔子を祀る聖廟・講堂・表御門・西御門・東御門が現存している。


歴　　　　　史
（ 二の丸西側の土塁 ）
（ 二の丸外北門跡の土塁 ）
（ 二の丸大手門脇の土塁 ）
（ 藩校致道館の表御門 ）
　鶴ヶ岡城は、はじめ大宝寺城と呼ばれ、築城年代は定かでないが武藤氏によって築かれた。武藤氏は源頼朝より出羽大泉荘の地頭職を得て、後に武藤長盛が大泉荘へ下向して大宝寺に居住して大宝寺氏を称した。

　戦国時代、大宝寺氏は羽黒山の権勢を背景に勢力を拡大していくが、最上川
以北に勢力を伸ばした砂越氏と激しく争うようになった。天文元年、大宝寺城は砂越氏維によって攻められて焼失し、更に赤川の洪水被害に見舞われたこともあり、大宝寺晴時は尾浦城へと居城を移し、大宝寺城は尾浦城の支城となった。

　大宝寺氏は、晴時＝義増−義氏＝義興＝義勝(本庄繁長次男）と続く。義氏の代に庄内平定を果たすが、天正11年に最上氏の庄内侵攻により義氏も敗死する。天正16年、上杉景勝の家臣村上城主本庄繁長が大宝寺義興の養子となった次男義勝と共に庄内へと攻め込み、最上氏方が支配していた尾浦城・大宝寺城等の諸城を落とした。

　上杉氏は、尾浦城を庄内領統治の拠点とし、支城の大宝寺城へは僅かな手勢しか配備されなかった。このため、天正18年に検地に抵抗して起きた一揆に簡単に開城した。一揆鎮圧後に大宝寺城は直江兼続によって改修された。

　慶長6年、関ヶ原で西軍に与した上杉景勝は米沢30万石へと減封となり、庄内三郡は山形城主最上義光に加増された。義光は、大宝寺城を庄内の拠点とすべく改修して鶴ヶ岡城と改称した。

　元和8年、最上義俊が改易されると、信濃松代より酒井忠勝が庄内14万石に封じられた。忠勝は、入国すると直ちに鶴ヶ岡城を14万石にふさわしい近世城郭へと改修した。庄内酒井氏は、その後この地を動くことなく11代忠宝の時に明治を迎えた。


お城へのアクセス
鉄　道： ＪＲ羽越本線鶴岡駅〜バス／致道博物館前
　車　： 山形道鶴岡ＩＣ〜国道7号線〜県道47号線
駐車場： 鶴岡公園の無料駐車場を利用


ひとくち ＭＥＭＯ
江戸時代には庄内統治の本拠となったお城。

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